大震災で倒壊した家の多くはシロアリの被害有り!

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大震災の教訓(シロアリ被害のリスク)

kumamoto06「阪神淡路大震災」や「東日本大震災」をはじめ、昨年は「熊本大地震」などの大きな被害を及ぼす大地震が各地で起きる地震大国の日本。特に地震による建物の被害が大きかった「阪神淡路大震災」における公的な災害調査の結果、地震の被害にシロアリが大きく関係していることが判明したことを、皆さんはご存知でしょうか? 

「阪神淡路大震災」では、実に約25万棟もの住宅が全壊または半壊し、6,434名の方が亡くなられ、その約8割の方々が倒壊した住宅の下敷きとなる圧死であったとされています。
また、震災後に行われた国土交通省の研究機関などの調査によると、倒壊した住宅の大 半がシロアリ被害や木腐朽被害などで強度が低下していたことが指摘されています。

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シロアリは1階の柱と土台の継ぎ目を集中的に食べるため、本来の耐震性を発揮する土台が崩れてしまい、住宅の耐震性が極端に低下していました。具体的には、「シロアリ被害・腐朽あり」とされた家屋の9割が全壊しているのに対し、「シロアリ被害・腐朽なし」の家屋は2割程度、さらに5割以上の住宅が軽微な被害で済んでいるという衝撃的な事実。

「阪神淡路大震災」の悲劇を繰り返さない為に「シロアリ対策」=「地震対策」であるという認識を強く持ち、家づくりにおいて重要視していただくことを切に願います。

 

平成28年4月に発生した熊本地震でも同様の被害が確認されています。
詳しくはこちら「熊本地震から学んだ「耐震等級3」の重要性

 

出典:『阪神・淡路大震災調査報告 総集編』(阪神・淡路大震災調査報告編集委員会、2000年)、厚生省大臣官房統計情報部「人口動態統計からみた阪神・淡路大震災による死亡の状況」(1995.12)

 

解体現場から見えてきた事実(高確率でシロアリ被害有り)

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シロアリ薬剤メーカーのコシイプレザービング社による、解体現場における被害状況の結果を分析したところ、雨漏り・水漏れにより腐朽が発生しているところにシロアリ被害が多くみられることが分かりました。また、一般的に薬剤塗布の目安とされている「地面からの高さ1m(GL1m)」をはるかに超えた3mの高さでもシロアリ被害が確認されています。

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GL1mの防蟻処理だけでは、腐朽とシロアリから大切な我が家を守ることが出来ないことが調査結果から明らかになりました。  また、調査の結果、普段目に入らないお風呂場の床下や台所の壁の中で水漏れによる腐朽被害が見られ、屋根裏でも雨漏れによる腐朽被害が見られました。一見、きれいに見える住宅でも、壁や天井を剥がしたり、床下に潜ったりして調査すると、思わぬ所が傷んでいるケースがたくさんあります。

実際にこれまでに調査した28棟の内、26棟で腐朽被害が、22棟でシロアリ被害が確認されています。(平成27年10月現在) 住宅を長持ちさせるためには、目に見えない部分にも対策が必要です。

 

ヒノキやヒバはシロアリに強い・・・でもなかった!

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上の写真は、主要木材として、ヒノキやスギなどの未処理見本とアールデザインが使用している緑の柱(ACQ処理品)をシロアリの巣内に並べ、2週間放置試験を行った結果です。 緑の柱は食害が全く起こっていませんが、一般的にシロアリに強いとみられているヒノキですら食べられてしまいます。

なお、ほぼ食い尽くされた「ホワイトウッド」は、SPF集成材と呼ばれ、住宅用構造材として広く使用されている北欧産の集成材です。集成材は硬くて丈夫。「修正材は強度があるから耐震性は大丈夫ですよ。」と説明されます。しかしながら、ホワイトウッドはシロアリの生息していない極寒の北欧産木材だけあり、極めてシロアリに弱いこと弱いこと。同様に「腐れ」に対しても、ホワイトウッドが一番弱いです。

実は、シロアリも好き嫌いがありますので、ホワイトウッドとヒノキがあれば、ホワイトウッドを優先して食べますが、ヒノキしかなければ、ヒノキを食べます。つまり、オールヒノキの家では、シロアリは仕方なくヒノキを食べます。一般に腐朽やシロアリに強いといわれているヒノキ、ヒバでも、時間が経つとシロアリに侵食されたり、水が含まれる環境では腐食・腐れが進むため5年に一度の薬剤塗布が必要となりますのでご注意ください。

また、最近の住宅ではKD材といい、木材が水分蒸発で変形しないように強制的に窯で乾燥させた人工乾燥木材を使用しています。実はこの窯で強制的に乾燥させる際に、ヒノキやヒバなどのシロアリに強い木材に入っている天然の防蟻剤(ヒノキチオールなど)が揮発してしまいます。そのため、人工乾燥木材は本来よりも数段シロアリに弱い部位が発生してしまうリスクがあるので、「ヒノキだから大丈夫」という考えはなおさら通用しなくなっています。

 

薬剤塗布処理の限界、実は再塗布できない場所が多い!

薬剤塗布・吹き付けによる防腐・防蟻効果は、約5年で失効します。 一般的な防蟻処理は、5年毎に再施工が必要となります。しかし、5年後に壁や基礎で隠れている構造材を処理できるでしょうか?

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例えば土台は、基礎内側の1面しか再処理することが出来ません、壁の中に隠れた柱に至っては全面とも再処理できません。そう、シロアリ薬剤塗布の、最大の問題点は今の住宅では、土台や柱は「壁の中に隠れている」ことです。「隠れている」木材が、シロアリや腐朽菌に侵食されていても、壁を破って確認しない限り、状況が分かりません。例え、侵食されていることが分かっても、多額の修繕費用がかかってしまいます。

薬剤塗布による防蟻処理の場合、本当は「目視できない壁の中」まで常にチェックする必要があります。 そこでアールデザインでは耐久性に優れた「緑の柱」を土台だけではなく1階の柱まで全部に採用してます。「緑の柱」はメンテナンスフリー、半永久的に防腐・防蟻効果を維持します。もちろん壁内部の再施工も必要ありません。

 

加圧注入木材の安全性は?

加圧注入処理で使用する薬剤マイトレックACQの主成分は、「塩化ベンザルコニウム(BKC)」と「銅化合物」。塩化ベンザルコニウムは医薬品で歯磨き粉やウエットティッシュ、洗濯用洗剤、病院で使用する消毒液などに、銅化合物は10円玉などの銅貨をはじめ調理器具などに用いられており、非常に馴染み深い存在です。

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また、上の表は、ラットを使った経口毒性調査・LD50値でACQ処理液を他の様々な化学物質と比較したものです。LD50値とは急性毒性を表す値で、体重1kgあたりどのくらいの量を摂取するとラットの死亡数・生存数が半々になるか。1kgあたりに摂取した化合物の値が小さくなるほど、危険性が高いといえます。 

「緑の柱」で使用している加圧注入ACQ処理液は、砂糖とほぼ同等のLD50値です。勿論「食べ物」と「ACQ処理液」は用途が異なりすぎますので、単純に比較はできません。しかしながら、口に入れた時でも塩やトウガラシ、コーヒー等の食品よりも安全性が高いということは、なんとなくご理解いただけたのではないでしょうか?

 

加圧注入木材の唯一の欠点は金属腐食

A rusty nail in a wooden board

緑の柱で使用されている「ACQ」は国内で使える防蟻工法としても最も信頼性が高い工法です。ただし、この最強の防蟻剤にも唯一といってよい欠点がございます。それはACQは金属の腐食性が強いことです。この点を指摘して、 「木造住宅では釘や耐震金物を使って施工しているため、釘などの金物が錆びてしまうと耐震性能が落ちるので良くない。だからアメリカではとACQからMCQという加圧注入剤に変わっていて、8割近いシェアになっているのだから、ACQは古い過去の防蟻剤である。」という緑の柱へのつぶし営業トークを耳にしたことがあります。

確かにこの緑の柱は金属腐食性を有しておりますが、このつぶし営業トークに関しては、実は金属腐食の性質を理解していない方の誤解です。この辺りは緑の柱の開発元であるコシイプレザービング社が十分に調査をされており、問題がないことを確認しております。 なぜ問題がないのかを金属腐食への理解を深めながら確認していきます。

 

金属はなぜ腐食するのか?kumamoto12

金属腐食の定義とは、なんらかの化学的又は生物的な作用により、物体の外見や機能が損なわれることを指します。 身近な金属腐食鉄は、鉄さびでしょうか。乾燥した大気中であれば鉄は特に錆びることはありません。 ところが、水分が存在すると、鉄の周りの酸素が水中に取りこまれる事で、酸素の自由電子が水分に移動してしまい、+鉄イオンに変化します。その後水が蒸発すると、再び空気中の酸素と鉄が結合し、酸化鉄となります。

同じく異なる種類の金属どうしが接触すると、一方の金属で接触した部分腐食が発生
する場合があります。これを「異種金属接触腐食」(以下電蝕)と言います。

もう少し電気化学的に追加説明しますと、電位の違う二つの金属が接触すると、卑な金属はイオン化(腐食)が助長され、貴な金属はイオン化が抑制されます。 ACQの主成分である銅化合物は鉄と比較すると、貴な金属であるために鉄製の釘や金物が電蝕を起こしてしまい、鉄くぎは錆びてしまいます。

 

錆びると釘などの金物の強度は低下するか?

電蝕で鉄くぎは錆びてしまいますが、心配はありません。 というのも、電蝕は永遠と錆び続けるわけではなく、表面を薄い錆膜が覆う程度で止まるからです。(酸化鉄が不導体のため電子が移動しなくなるから) その為、太い釘の耐力はACQの電蝕程度では本来の強度が落ちるようなことはありません。

同じ理由でさらに厚みのある耐震系の金物も全く問題ありません。 金物メーカーに確認いただければ分かりますが、ちょっと表面が錆びたぐらいで機能が失われるような製品はそもそも作られておりません。 (余談ですが、昔は大工さんが鉄くぎを口にくわえて金槌でたたいていました。これは、両手が空くこともありますが、鉄くぎを口にくわえることで、木材に打ち込んだ後に唾液で表面がほんの少し錆びて膨張することにより、くぎが抜けにくくする意味もあったといわれています。)
釘が錆びて強度が落ちる前に、木材が腐ってグズグズになるから、釘が利かなくなるのであって、木材さえ健全であれば電飾でくぎの強度が落ちることは、電飾の特性上あり得ません。

ただし、アールデザインでは美観の観点から(表面が錆びたくぎの印象は悪いですからね)、電蝕を起こさないように表面が絶縁コーティングされた対電蝕用の専用釘を使用しております。そもそも電蝕させませんので、ご安心ください。

 

参考文献

【新築を建てる人必見】シロアリ対策は地震対策!
シロアリを半永久的に予防する工法

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