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断熱は「あったかいセーター」
住まう私たちにとっても断熱材が薄く、暖房や冷房を切った途端に寒くなったり暑くなったりするような家ではエネルギーが掛かって仕方ありませんし、何より不快でしょうがありませんね。
快適性を高めるには、建物の断熱材を厚くして高断熱にすることが重要です。高断熱とは、いわば「家にあったかいセーターを着せてあげる」こと。昔は人が冬は凍え、夏は汗をかいていましたが、今では人の代わりに家が寒さに凍え、夏に汗をかいてくれています。断熱材を入れずに裸同然で家に苦労を掛けたら早死にしてしまうのは当たり前と言えば当たり前の事。私たちの代わりに頑張っている家に、服ぐらいは着せてあげてもバチはあたりません。
ところが、日本の建築家やハウスメーカーには「日本は温暖気候だから、断熱はそこそこで良い」という間違った情報を信じている勉強不足の人がたくさんいます。
話はそれますが、皆さん、建築家、一級建築士だからといって、家づくりのノウハウを何でも持っていると思っていませんか?実はこれが大きな勘違いなのです。日本の大学の建築学科では建物の燃費を計算し、低燃費で快適な住宅を設計するための知識を教えてくれる先生は少数派です。それもそのはず、ほとんどの学生は有名建築家にあこがれて来た、アーティスト志望ばかり。授業内容も国際ホールなどの大規模建築物が中心。どうも日本では、建築学はフィジック(物理)ではなく、アート(芸術)の学問というポジションの色が強いようです。住まいの快適性などよりも芸術性が意識されています。
「言えの作りやうは、夏を旨とすべし」は現代でも通用するのか?
話を元に戻して、建築学のスタンス以外にも、日本の専門家でもまだ住宅の高断熱化のメリットを理解していない現状には訳があります。それは昔、日本の家は長持ちさせるために、柱や梁等が露出させ、風通しのよい造りとなっていました。徒然草で知られる吉田兼好法師(鎌倉時代)は55段で以下の様に言っています。「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。暑き比わろき住居は、堪え難き事なり・・・」。
このように冬型の家ではなく夏型の家が我が国の家づくりの基本だったのです。鎌倉時代でも、冬の寒さは火を使うことである程度は和らげる事が出来ました。ところが、夏の高温多湿な環境は人にとって不快で仕方が無い。庇を長く突き出して、太陽熱を出来るだけ入れず、風通しを可能な限り良くして、涼をるしか選択肢が無かったのです。
また、高温多湿な環境は人間だけでなく、木材に取っても腐ったりカビが生える絶好の環境であり、その結果として風通しの悪い家は長持ちしませんでした。そこで考えついたのが、風通しを良くして、室内と室外を同じ温度湿度にしてしまえば木材も腐らないのでは?という事で「夏をむねとすべし」という考え方で家を作らざる終えなかったのです。
しかし現在の住まいは、技術の進歩とともにプライバシーや耐震性を高める為に壁が増え、省エネやCO2削減対策等の為に断熱材が入れられており、エアコンのスイッチを入れさえすれば暑さ寒さとからある程度は解放されるようになりました。鎌倉時代の家づくりとは全く違う世界です。ところが、日本では断熱材は大工さんのついで仕事として施工されているのが一般的。断熱材を入れるのがついで仕事な為か、先人達があれほど気にした湿気対策が忘れ去られてしまいました。そしてこの湿気対策への配慮不足から、近年では多くの家の壁の中がカビたり腐ったりしています。
断熱と気密はセットで!絶対条件です。
夏涼しく、冬暖かいというのは自然の摂理に反している訳です。結果として温度差の際である壁の中で結露が起こる事は、温度と湿度の物理特性をふまえれば、当たり前に起こる自然現象です。だからこそ断熱と一緒に、室内の湿気が壁の中に漏れないようにしっかりと気密工事を行う必要が有ります。
ところが、建築物理学を大学で学んでいない建築家や、ハウスメーカーは、カビだらけになった壁の中を見て、「以前はカビなかったのに、断熱材を入れるようになってカビが生えるようになった」と考え、断熱材をいれるから壁がかびるのだと信じ込んでしまいました。本当は、断熱と一緒にしっかりと隙間を塞がなかったことが原因なのですが・・・。これが断熱不足の住宅が蔓延している主原因の一つと思います。