「息苦しい」はウソ!建物は高気密にすべし。

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風の強い冬に、セーターだけで外出すると寒いですよね?

気密性能とは断熱性能と同様に低燃費住宅を作る上で、極めて重要な要素です。気密性能とは平たく言えば、「どれだけ隙間ない家か」ということです。

断熱材は「セーター」、気密は「ウィンドブレーカー」をイメージしてみてください。真冬の風の強い日に分厚いセーターだけで外出した場合、風が吹くたびにセーターの隙間から冷たい空気が入ってきて凍えてしまいますね。また、セーターを着ずにウィンドブレーカー一枚だけで外出したら、風は入ってこないものの、薄着すぎてこれも凍えてしまいますね。セータを来て上にウィンドブレーカーを羽織る、これが正解。

図2 図1
 断熱と気密が両立した状態。
服だとセーターとウィンドブレーカーを
合わせた理想的な状態。
断熱のみで気密がなされていない状態。
服だとセーターだけで外出した状態。
風が強ければセーターだけだと寒いですね。

気密は息苦しい?

気密して換気扇を付けない場合は確かに息苦しくなります。ところが、現在の新築住宅では24時間換気の設置が義務付けられていますので、気密性の低い住宅の場合、排気用の換気扇が、近くのすき間からのみ空気を吸い出してしまい、換気されない空間が出来てしまう現象(ショートサーキット)が起こりやすくなります。つまり、気密不足の家の場合の方が息苦しい部屋が出来やすくなっています。このような換気が正しく機能しない状態を解消するためには、高い気密性能をもつことで、すき間からの空気の出入りもほとんどないため、気密は高い方が住まい全体の空気をよどみなく換気することが出来ます。

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足元の寒い家は気密不足が原因

家も同じです断熱材の厚みと高い気密性が一緒になって初めて暖かい家になります。つまりいくら断熱材を厚くしても気密性能が悪ければ、効果半減です。

もう一つ、分かりやすい例でお話しすると「気密」の低い家は「足元がスースーする家」です。皆さん、冬にエアコンをガンガン回しても、足元が寒くて膝かけがなければ不快で仕方がない、という経験はありませんか?その家こそが、すきま風が吹き荒む「低気密住宅」なのです。気密の低い家は室内の上下温度差が大きくなる為に、暖房しても底冷えする、不快な家なのです。日本では床暖房が人気ですが、低気密な家が多いがゆえに、床暖房でないと足元が暖まらないからです。

 

中気密・高断熱というものはありません。

日本では「気密」をおろそかにした家づくりが蔓延しています。「家は暖かいほうがいいので、断熱性は高いほうが良いが、高気密は息が詰まる。気密性は中くらいがいい。」といって高気密高断熱ではなく、中気密高断熱が良いという建築家や工務店は未だに沢山います。

ところが実際には、中気密高断熱という状態はあり得ないのです。気密性を伴わずに、ただ断熱材を分厚くしただけでは、「すきま風」によって熱が奪われてしまい、高断熱にはなりません。つまり、「中気密・高断熱」は実際には、「中気密・中断熱」、性能の低い方にランクダウンしてしまい、断熱材を無駄に入れただけの状態。建築のプロ失格の凡ミスです。

彼らは先程も登場した吉田兼好法師の教えに従い、夏を中心に考え、風通しを大切にした家づくりをしているのですが、「通風」と「通気」と「漏気」を混同しています。窓から風を取り込む事を「通風」と言います。また、木材が腐らないように建材の外側に通気口を作って計画的に空気を循環させる事を「通気」と言います。そして、足下をスースーさせる想定外の「すきま風」を「漏気」と言います。「漏気」は前記の2つとは似て非なる代物です。

このあたりについては、「高気密・高断熱は息苦しい?気密性能のメリットとデメリットを大公開」に詳しく書きました。

 

通気とは、湿気を適切に廃棄する仕組み。これ全部断熱の外側のお話。

「通気」はとても大切です。例えばサイディングなどの透湿性(水蒸気の通り易さ)の悪い外壁を使用する場合、外壁と断熱材の間に通気層(湿気の通り道)を設けないと、湿気が壁の内に溜まって木が腐ってしまいます。また、室内の様々な汚染物質を外に排出するための「換気」や、窓を開けて風を通す「通風」は、快適な生活の上でも絶対に必要なものです。通気は全て断熱ラインの外、つまり、通気が必要なのは外壁の外側だけです。

画像:タイベックより

 

「漏気」とは、ピューと吹き込む寒い隙間風

では「漏気」はどうでしょうか。コントロール出来ず、想定外で不快な「すきま風」が良いはずがありませんね。先程もお話ししましたように、冬のすきま風の不快さと寒さは誰しもが経験している事でしょう。また、想定外の「漏気」は、冷房や暖房でせっかく調節した室内の空気を室外に捨ててしまい、大きなエネルギーロスを大量に発生させます。そして、その際に、室内外で発生した湿気を壁の中に運ぶことで、壁の中にカビを発生させたり、木を腐らせたりします。「漏気」は「百害あって一利なし」のまさしく施工ミスなのです。

残念ながら「なんとなく気密は息苦しそう」、という誤ったイメージだけで、隙間だらけの家が数多く建てられています。いくら断熱材を分厚くしても効果半減、さらに壁の中が結露してカビたり木が腐ったりしています。気密の意味を理解していない人が未だに多いのが、日本の住宅が世界的に見ると低レベルであり、異常なほど寿命が短い要因の一つなのかもしれません。

 

気密について、さらに知りたい方はこちら↓

【ハウスメーカー任せはダメ!】気密性能が必須な8つの理由

 

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